『セザンヌと過ごした時間』ポール・セザンヌ(ギヨーム・ガリエンヌ)。そしてエミール・ゾラ(ギヨーム・カネ)。二人の出会いは少年時代にさかのぼる。中学校でいじめにあうゾラをセザンヌが助けたことが始まりだった。銀行家の息子として裕福な生活を送るセザンヌ。貧しい母子家庭のゾラ。そんな離れた境遇を超え、お互いの感性に惹かれ合う二人。エクス=アン=プロヴァンスのさんさんと降り注ぐ太陽のもとで、二人は友情を育んでいく。作家として早々と成功をおさめるゾラに対し、セザンヌはサロンに出品するたびに落選を続ける。父親からの仕送りを断たれたセザンヌを、経済的に支えることで友情を示すゾラ。けんかっぱやく荒れた生活をしながらも、セザンヌは絵筆を手放すことはなかった。そしてまた、ゾラの人生に助言を与える誠実さも失わなかった・・・・・・ギヨーム・ガリエンヌに声をかけたダニエル・トンプソン監督は、当初、彼にエミール・ゾラの役を考えていたという。しかし、ガリエンヌが自ら希望したことからセザンヌ役に変更。生命力と躍動感に溢れるセザンヌを演じたガリエンヌの素晴らしいこと!この映画を観た後、セザンヌの絵画を観に行くことができたら、どんなに豊かな時間を過ごせるだろうか。映画の原題” Cézanne et moi” (セザンヌと私)にあるように、この映画に一貫して流れるのはゾラの視点で、脚本はまるでゾラの小説のよう。セザンヌよりも先に成功し、セザンヌよりも先に死を迎えたゾラ。映画は彼の謎の死に直接触れていないが、映画の後の二人を想像させるほどの奥行きを感じさせてくれる。 (Mika Tanaka)監督:ダニエル・トンプソン出演:ギョーム・カネ、ギョーム・ガリエンヌ、アリス・ポル、デボラ・フランソワ、セビーヌ・アゼマ2016年/114分Cézanne et moi de Danièle Thompson avec Guillaume Gallienne, Guillaume Canet, Alice Pol, Déborah François; 2016, France, 114 mn
『セザンヌと過ごした時間』Cézanne et moi