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La francophonie au Japon

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『あしたは最高のはじまり』 Demain tout commence
Photo: Julien Panié

『あしたは最高のはじまり』 Demain tout commence
 
かつて関係を持った女性が自分を訪ねてくる。彼は言う。「やあ元気だった?かわいい赤ちゃんだね」。すると、女性は、「あなたの子よ」と行って赤子を彼の手に預け、去っていく……
その先どうなるか、あなたはどう想像するだろう?  陳腐な展開になりがちな題材、でも俳優たちの生き生きとした演技は決して私たちを裏切らない。いきなり父親にさせられる主人公サミュエル(オマール・シー)の底抜けの明るさと、愛情いっぱいに育った娘のグロリア(グロリア・コルストン)の自由奔放さがたまらなく気持ちいい。オマール・シー出演の出世作『最強のふたり』もそうだったけれど、映画には、影の部分があまり描かれていない。といっても、「人生はいいもんだからがんばろうぜ」的な、脳天気な元気映画でもない。影の部分を描かなくても深みを感じるのは、オマール・シーの演技が、人生の影の部分を塗りつぶしてしまうほど明るい光に満ちているからじゃないかな、きっと。そして、異国の地でシングル・ファーザーとなったサミュエルを支えるベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)の存在感。彼がLGBTであるという設定が、嬉しい。アントワーヌ・ベルトランはケベック州出身の、カナダの人気俳優。舞台版『最強のふたり』で、オマール・シーが演じたドリス役を演じたのが縁で、今回の出演に至った。ポジティブ思考だけじゃ、世の中うまくまわらない。確かにそうだ。それでも、彼らのバイタリティ溢れる演技を見ていると、シンプルな前向き人生もいいかなと思い始める自分がいる。 (Mika Tanaka)
 
監督:ユーゴ・ジェラン
出演:オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトラン、グロリア・コルストン
2016年/117分
 
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