『ショコラ 君がいて、僕がいる』Chocolat20世紀初頭。今から100年ほど前のフランスでは、「人種差別」の存在が当たり前のようにあった。博覧会では「人間動物園」という展示もあった。そんな時代の中、芸人として成功への道を歩んだ黒人がいた。彼の芸名はショコラ(オマール・シー)。そして、彼の成功を支えたのは、相方の白人芸人、フティット(ジェームス・ティエレ)だった。2人は、小さなサーカスで出会い、コンビを組んでから、またたく間に一世を風靡する。しかしその成功があっても、人種差別の壁は依然としてショコラを阻み続ける・・・・・・実在の芸人、ラファエル・パディーヤの伝記をもとにつくられたのがこの映画。芸の世界で偉業を成し遂げた人物でありながら、その功績がほとんど残されていない。そのことが既に、差別の壁の厚さを物語っている。この映画を手がけたロシュディ・ゼム監督の言葉が深くささる。「これは、フランスという国の物語だ。何の罪も責任もなく、ショコラは時代に名を刻み、そして忘れられた」そして監督は、こう続ける。「今日をよりよく生きるためには、過去を知ることがとても大切だ」と。ショコラを演じるオマール・シーは、『最強のふたり』で、2012年のセザール賞最優秀主演男優賞を受賞している。彼の受賞が、「黒人初」であったことが、ショコラの人生と重なるように思えて、切ない。(Mika Tanaka)監督:ロシュディ・ゼム出演:オマール•シー、ジェームス•ティエレ、クロティルド•エスム、オリヴィエ•グルメ2015年/119分/PG12
『ショコラ 君がいて、僕がいる』Chocolat