『カミーユ、恋はふたたび』人生の折り返し地点に立つカミーユ(ノエミ・ルヴォウスキー)。いまいちぱっとしない女優の仕事と、離婚間近の夫とのいさかいの慰めになるのは、長年連れ添ったネコとお酒だ。うさをはらそうと、年越しのパーティーで泥酔すると、目覚めた場所は病院のベッド。タバコを吸おうとすると、看護師に止められ、酒に酔ったことを注意される。カミーユは、16歳の時代にタイムスリップしていたのだ。亡き母と若い父との再会に喜び、十代の頃の友人たちとはしゃぎ、過ぎた青春を再び謳歌するカミーユの前に、今では愛の冷めてしまった若き日の夫が現れるが…… この映画の監督と脚本を手がけるノエミ・ルヴォウスキーの主演は、プロデューサーのジャン=ルイ・リヴィの声かけがあっての快挙。ぽっちゃりした中年の体型のカミーユが着る十代の服が愛らしい。再会した両親をなつかしく、愛おしくみつめるまなざし。そして過去から現代に帰ってきたとき、別れた夫をあたたかくみつめるまなざし。映画の中でもっとも印象に残るカミーユの深い喜びにあふれた表情を、どうか見逃さないでほしい。(Mika Tanaka)監督:ノエル・ルボフスキー出演:ノエル・ルボフスキー、サミール・ゲスミ、ジュディット・シュムラ、ヨランド・モロー2012年/115分Camille redouble de et avec Noémie Lvovsky avec Samir Guesmi, Judith Chemla, India Hair, Julien Faure; 2012, France, 115 mn
『カミーユ、恋はふたたび』Camille redouble