『わたしの名前は…』Je m’appelle Hmm…こどもは親を選べない。生まれたその瞬間から、こどもたちには決められた父親と母親の存在がある。そして、親もこどもを選べない。ただ、こどもとどのように関わっていくのか、決めることはできる。こどもに何を与えるのか、親はそれを自らの意志で選択できる。生きることの喜びか、それとも生きることの苦しみか。この映画を観ていると、その非情を痛感する。セリーヌの父親がトラック運転手のピート(ダグラス・ゴードン)だったら...と、映画を観終わってから、何度も何度もそのことを仮定してみる。反復したところで映画の筋書きが変わるわけじゃないのに。セリーヌとピートが教会を訪れるシーンがある。そこに、救いの光が見えるような気がした。ピートは神のような愛でセリーヌを包み込んだし、セリーヌはピートにとって、天使のような存在だったから。ファッションデザイナー、アニエスベーが、アニエス・トゥルブレという本名で、初めて手がけたこの映画は、10年以上前に新聞で目にした記事からインスピレーションを得たという。セリーヌのモデルとなった少女は、今どんな生活を歩んでいるのだろうか。(Mika Tanaka)監督:アニエス・トゥルブレ(アニエスべー)出演:ルー=レリア・デュメールリアック、シルビー・テステゥ、ジャック・ボナフェ2013年/126分/カラー、一部モノクロJe m’appelle Hmmm… d’Agnès Troublé avec Lou-Lélia Demerliac, Sylvie Testud, Jacques Bonnaffé; 2013, France, 126 mn
『わたしの名前は…』Je m’appelle Hmm…