フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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Rédaction: Karen, Mika Tanaka

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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2025年2月3日
 
上映中
 
『山逢いのホテルで』  
監督:マキシム・ラッパズ
出演:ジャンヌ・バリバール、トマス・サーバッハー、ピエール=アントワーヌ・デュべ、ヴェロンク・メルムー
2023年/スイス・フランス・ベルギー/92分
 
 

 
上映中
 
『不思議の国のシドニ』  
監督:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール、伊原剛志、アウグスト・ディール
2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分
 
 

 
ユーロスペース 03-3461-0211
シネマート新宿 03-5369-2831
 
上映中
Return to reason
Return to reason
Crédits : © 2023 WOMANRAY/CINENOVO - ALL RIGHTS RESERVED

RETURN TO REASON/リターン・トゥ・リーズン』  
 マン・レイが初めて映画を手がけたのは、1923年のこと。その100年あまり前の4つの短編映画に” SQÜRL (スクワール)”によるオリジナル楽曲が重なり、本作が完成した。
(※SQÜRLは、映画監督として知られるジム・ジャームッシュと、ミュージシャンであり彼の映画のプロデューサーでもあるカーター・ローガンによるロック・デュオ)。
 
1作目は『ひとで』(1928 年)。焦点がぼやけた映像、さよならと告げる男、刃物、夜空、炎を見つめる女。詩人のロベール・デスノスの詩をなぞった映像には”妖艶”な香りが漂う。続く2作目の『エマク・バキア』(1926年) は、バスク語で2つの意味がある。1つは「ひとりにしてくれ」、もう1つは「平和を与える」だ。バンジョーの演奏に合わせて踊る女のステップ、バスクの海岸、海を泳ぐ魚。躍動感溢れる映像に「生きている」感覚を再認識する。3作目は、本作のタイトルとなっている『理性への回帰』(1923年) 。マン・レイの初監督作品だ。3分あまりの短さの中、無機質な動きが展開されるが、その中で一瞬現れる裸婦の姿が強烈な印象を残す。そして最後が『サイコロ城の謎』(1929年) 。”Un coup de dés jamais n’abolira le hasard.” (サイコロの一振りが偶然を壊すことは絶対にない/字幕翻訳 稲田嵯裕里)という字幕の後、サイコロを振る人々が登場する。車に乗り込みパリを出る2人の旅人。優雅な邸宅のプールで泳ぐ人々。彼らは皆、顔をストッキングで覆い、表情が見えない……不思議さゆえ、画面をじっと見入っているうちに、自分が今いる三次元の世界から離れた場所にいるような錯覚を覚える。
 この映画に主役がいるとすれば、それは、キキ・ド・モンパルナス(モンパルナスのキキ)かもしれない。わずかな表情の変化、少ない動きでありながら、彼女が私たちの心に届けてくれる”ときめき”はとても濃密だ。まるでエコール・ド・パリの時代の華やかな空気が漂ってくるよう。(Mika Tanaka)
監督:マン・レイ
音楽:スクワール(ジム・ジャームッシュ&カーター・ローガン)
2023年/フランス/70分
 
À partir du 24 janvier
Return to reason de Man Ray; 2023, France, 70 min
 
 

 
 
1月31日(金)より
Spectateurs
Spectateurs
Crédits : © 2024 CG Cinema / Scala Films / Arte France Cinema/ Hil Valle

『映画を愛する君へ』  
 主人公の名前はポール・デダリュス。そう、 1996年の映画『そして僕は恋をする』2015年『あの頃エッフェル塔の下で』 の主人公の名前だ。6歳、14歳、22歳、30歳……人生の節目節目のポールが登場し、映画との出会い、映画への思いを語る。ポールはアルノー・デプレシャン監督自身の分身、この映画は監督の自伝的なエッセイといえる。
 映画についてのドキュメンタリーを作らないかというオファーがきっかけだった。「ドキュメンタリーの作り方はわからないけれど、フィクションの要素を取り入れたハイブリッドな形式の映画なら撮れるのではないか?」デプレシャン監督の構想はどんどん膨らみ、本作が完成した。おばあちゃんに初めて映画館へ連れて行ってもらって観た『ファントマ 危機脱出』、そのとき「自分の居場所をみつけた」と感じたこと。テレビ画面に流れたフランス語吹き替えの『白い恐怖』、学校の映画部に入って企画した鑑賞会で選んだ映画『ひなぎく』、『SHOAH ショア』を観たときの体験、『大人は判ってくれない』をあらためて観た後、大きな決断をしたこと……ポールという1人の少年の成長物語と、映画が誕生した 19世紀末から現在までの映画の歴史が編み上げていくエッセイは、懐かしさと愛がつまった宝箱のよう。ポールの映画への愛はもちろん、 ポールに関わる人たちへの愛が。ポールの祖母(フランソワーズ・ルブラン)、大学教授(ミシャ・レスコー )、ドキュメンタリーパートで本人として出演している文芸評論家のショシャナ・フェルマンと友人のケント・ジョーンズ……スクリーンいっぱいに愛と優しさが溢れているのだ。そして、本作のナレーションを手がけるマチュー・アマルリックが登場するワンシーン。彼が微笑んだ一瞬を何と表現したらよいのだろう。『そして僕は恋をする』と『あの頃エッフェル塔の下で』でポールを演じたマチューをこのタイミングで、このように登場させてしまうデプレシャン監督の技量とマチュー自身の天性の魅力が呼応したときのまばゆいほどの輝き……映画の魔法をまたひとつ発見した。(Mika Tanaka)
 
監督:アルノー・デプレシャン
出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルビュー=レジェ、フランソワーズ・ルブラン、ミロ・マシャド・グラネール、サム・シェムール
2024年/フランス/88分
 
À partir du 31 janvier
Spectateurs! d’Arnaud Desplechin avec Louis Birman, Françoise Lebrun,Milo Machado-Graner, Sam Chemoul, Salif Ciss, Mathieu Amalric; 2024, France, 88 min
 
 

 
下高井戸シネマ  03-3328-1008
 
2月8日(土)〜14日(金)
 
映画作家ジャンヌ・モロー
 
上映作品  ※日替わり上映
『リュミエール』
出演:ジャンヌ・モロー、ルチア・ボゼー、フランシーヌ・ラセット、キャロリーヌ・カルチエ、ブルーノ・ガンツ 
1976年/フランス/102分
『思春期』
出演:レティシア・ショヴォー、シモーヌ・シニョレ、フランシス・ユステール、ジャック・ヴェベール、エディット・クレヴェール
1979年/フランス/94分
『リリアン・ギッシュの肖像』
出演:リリアン・ギッシュ、ジャンヌ・モロー
1983年/フランス/59分
 

 
早稲田松竹 03-3200-8968
 
2月15日(土)〜21日(金) 日替わり上映
早稲田松竹クラシックス vol.230 / ピエール・エテックス監督特集
 
1928年、フランスのロアンヌに生まれ、チャールズ・チャップリンやバスター・キートンたちに憧れ、サーカスに恋をした少年ピエール・エテックス。道化師になることを夢みた彼は、楽器やパントマイムなどの芸を磨き続けるが、やがてパリでイラストレーターとして活躍するようになる。ピエールが映画の世界へと転身する転機となったのが、ジャック・タチとの出会いだ。『ぼくの伯父さん』 では、アシスタントとして働いただけにとどまらず、同作のポスター制作を手がけ、後に『ぼくの伯父さんの休暇』と『ぼくの伯父さん』の小説版ではイラストを担当することに。そこでピエールを待っていたのは、小説版を執筆したジャン=クロード・カリエールだった。「エテックス監督・カリエール脚本」のコンビが生み出す世界はコミカルで切ない。(Mika Tanaka)
 
2月15日(土)・17日(月)・19日(水)・21日(金)
『恋する男』
『恋する男』
Crédits : © 1968 - CAPAC

『恋する男』
エテックスとリエールのコンビが手がけた最初の長編映画。恋に不器用な主人公が、あるときテレビに出演していた歌手のステラに夢中になって、部屋じゅうを彼女の写真で埋め尽くすが……ステラに会おうとミュージックホールの楽屋裏に押しかけたときにすれ違うサーカス一座は、エテックス作品の多くに出演するクラウンのジョルジュ・ロリオ率いる一座。駅のホームのラストシーンはコミカルでありながら、哀愁が漂う。(同時上映 :短編映画『破局』)
 
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス
脚本:ジャン=クロード・カリエール
1962年/フランス/モノクロ/84 分
 
『ヨーヨー』
『ヨーヨー』
Crédits : © 1962 – CAPAC

『ヨーヨー』
 『恋する男』に続く、2作目の長編。父親と死別して間もないエテックスが「父と息子の絆を描きたい」という思いから生まれた。
 大富豪の男が世界恐慌を機に屋敷を出て、サーカスの一座に加わる。息子はヨーヨーという名のクラウン(道化師)として活躍するが、廃墟となった父の屋敷に特別な思いを抱き始める……ヨーヨーの成長と共に世界恐慌、第二次世界大戦、テレビ時代の台頭という20世紀の歴史が描かれるが、時代に合わせ映画そのものが「サイレント映画」と「トーキー映画」の二部構成で描かれる。
 ピエール・エテックスという人がいかにサーカスを愛しているか、そしてどれだけ映画を愛しているか、その溢れんばかりの思いがつまっている。
 
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス
脚本:ジャン=クロード・カリエール
1964年/フランス/モノクロ/98 分
 
2月16日(日)・18日(火)・20日(木)
『健康でさえあれば』
『健康でさえあれば』
Crédits : © 1965 - CAPAC

『健康でさえあれば 』
「不眠症」「シネマトグラフ」「健康でさえあれば」「もう森へなんか行かない」の4編の短編から成るオムニバス映画。騒音や大気汚染といった生活環境の悪化をコミカルに描いたさまは、50年近く経っても色褪せることがない。(同時上映 :短編映画『絶好調』)
 
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス
脚本:ジャン=クロード・カリエール
1965年/フランス/67分
 
『大恋愛』
© 1973 - CAPAC – Les Films de la Colombe

『大恋愛』
第一次世界大戦から戻り結婚し、10年経った頃。仕事も妻との生活も充実しているが、どこか満たされない主人公の前に新人の若い秘書が現れ……さまざまな人がさまざまな妄想をくり広げ、映画ならではの手法で私たちを笑わせる。そんなコミカルと展開と裏腹に、ベッドが車のように道路を走り出す主人公の妄想はメランコリックで美しい。冒頭、俯瞰で映るロワール川の上流には、エテックスの故郷ロアンヌがある。このときに流れる映画の主題歌「Les Heures Tournent(時が刻む)」は、主人公の妻を演じ、後に本当にエテックスの妻となるアニー・フラテリーニが歌っている。
(同時上映 :短編映画『幸福な結婚記念日』)
 
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス
脚本:ジャン=クロード・カリエール
1968年/フランス/カラー/87分
 
Rétrospective Pierre Étaix
 
Le soupirant de et avec Pierre Étaix; 1963, France, 83 min N/B
Yoyo de et avec Pierre Étaix, Claudine Auger, Luce Klein, Philippe Castelli; 1965, France, 92 min N/B
Tant qu’on a la santé de et avec Pierre Étaix, Denise Péronne, Simone Fonder, Sabine Sun, Véra Valmont; France, 1966, 79 min N/B
Le grand amour de et avec Pierre Étaix, Annie Fratellini, Florence Girard, Nicole Calfan, Alain Janey; 1969, France, 87 min
Rupture
Heureux anniversaire de et avec Pierre Étaix, Georges Loriot, Nono Zammit, Lucien Frégis; 1961, France, 15 min
En pleine forme
 
 
2月15日(土)〜21日(金)レイトショー
L'art du silence
L’art du silence

『マルセル・マルソー 沈黙のアート』
よれよれの帽子に赤い花。顔を白く塗った人物がいる。名前はビップ。この人物は、何にでもなれる。男にも女にも、風にも花にも木にもなるし、神になることもできる。よりよい世界を夢見て……沈黙を守り、ビップの身体表現にすべてを託し、世界中を旅したマルセル・マルソー。ユダヤ系の家庭に生まれ、父はゲシュタポに連行される。彼はレジスタンスの活動に身を投じ、ユダヤ系の孤児300人あまりをスイスに送った。マルセルの娘のひとりカミーユが、父の筆跡をたどる。パリ解放で湧き上がる人々の様子が記されている。彼は嬉しくなり、同時に胸が苦しくなった。そして”孤独”を欲したそうだ。アウシュビッツで亡くなった父のことを思い出したのだ。ビップ誕生には、そんな背景があった。
 監督は、マウリツィウス・シュテルクレ・ドルクス。映画の冒頭に登場するろうのパントマイマー、クリストフ・シュテルクレは彼の父だ。父を通して知ったパントマイム、そしてマルセル・マルソーについて、自分自身の心で解釈し、映像として残した。
本作では、マルセル・マルソーを知る複数の人物がマルセルを語り、彼の輪郭をくっきりと描いていく。マルセルの妻、2人の娘、そして孫。16歳のルイ・シュヴァリエは、祖父のことをよく知らない。が、今はダンスを学びながら、心の中で祖父との対話を続ける。レジスタンス活動を共にした従兄弟のジョルジュは108歳を目前に控え、1日1日を大切に生きている。マルセルが子供たちを”魔法使いのように”救ったことを今も忘れない。マルセルのもとで学んだ弟子のひとりロブ・メルミンは、パーキンソン病を患った後、パントマイムの技法でパーキンソン病の症状の改善、緩和に取り組む活動を始めた。
マルセル・マルソーがこの世を去ってから16年の月日が流れようとしている。それでも、彼が極めた芸術は残された人々の中で生き続け、進化を続けている。誰かの心を癒し、よりよい世界を築くために。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本 : マウリツィウス・シュテルクレ・ドルクス
出演:マルセル・マルソー、クリストフ・シュテルクレ、アンヌ・シッコ、
カミーユ・マルソー、オーレリア・マルソー、ルイ・シュヴァリエ、
ロブ・メルミン、ジョルジュ・ロワンジェ、ダニエル・ロワンジェ
2022年/85分/スイス=ドイツ
 
L’art du silence, documentaire de Maurizius Staerkle Drux avec Marcel Marceau, Anne Sicco, Camille Marceau, Aurélia Marceau; 2022, Suisse, Allemagne, allemand, français, anglais, 85 min
 
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