新宿シネマカリテ 03‐3352‐5645アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042[ストレンジャー] 080‐5295‐059710月4日(金)より『ロール・ザ・ドラム!』監督:フランソワ=クリストフ・マルザール出演:ピエール・ミフスッド、パスカル・ドゥモロン、ザビーネ・ティモテオ、ジャン=リュック・ビドー、アメリ・ペテルリ2019年/スイス/90分/フランス語・イタリア語シネスイッチ銀座 03‐3561‐0707アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042上映中『画家ボナール ピエールとマルト』これだけの激しさが必要なのだろうか?誰かを傷つけて、自分を傷つけて、離れてもまた求め合い、また傷つけ合う。ここまで追いつめて追いつめられなければ、画家は名作を描くことはできないのだろうか?始まりはごくありふれたものだった。画家ピエールボナール(ヴァンサン マケーニュ)は、パリの街で出会ったマルト(セシル ドゥ フランス)に「モデルにならないか」と声をかける。どこにでもあるような出会いは月日を重ね絶対的な関係となり、マルトはピエールのミューズとなっていく……「幸福の画家」と呼ばれたピエールだが、私生活は決して穏やかといえるものではなかった。マルトから離れ、他の女性と逃げようとしても、彼の絵筆はマルトを描いてしまう。長くは生きられないと医師から告げられたマルトと、マルトなしでは生きていけなくなったピエールの残酷で濃密な関係。その狂気を演じる俳優たちから目が離せなくなる。監督は、マルタンプロヴォ。子供の頃、母親から贈られたボナールのポスターを部屋に貼り、その官能と神秘に魅了されてきたという。そんな彼のもとにマルトの姪の娘、ピエレット・ヴェルノンから「大叔母(マルト)についての映画をつくってほしい」という依頼が入る。マルトが十分に評価されていないというピエレットの思いをプロヴォ監督が引き受け、この映画が完成した。マルトは、ピエールの絵のモデルというだけの存在ではなかった。彼の絵に鋭い助言を与えることもあれば、自ら絵を描くこともあった。しかし、彼女は最初で最後の個展を開いた後、心を徐々に病んでいくのだ。最期までマルトと共に暮らし彼女を看取ったピエールは、果たして彼女に人生を束縛されてきたのだろうか。それとも、束縛されていたのはマルトの方だったのだろうか。映画が終わった後、むしょうにボナールの絵を見たくなる。彼の残した絵の中に、私たちは映画が描いていない真実のかけらをみつけることができるのかもしれない。(Mika Tanaka)監督:マルタン・プロヴォ出演:セシル・ドゥ・フランス、ヴァンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン、アヌーク・グランベール、アンドレ・マルコン2023年/フランス/123分配給:オンリーハーツÀ l’écranBonnard, Pierre et Marthe de Martin Provost avec Cécile de France, Vincent Macaigne, Stacy Martin, Anouk Grinberg, André Marcon; 2023, France, 123 minヒューマントラストシネマ有楽町 03‐6259‐8608新宿シネマカリテ 03‐3352‐5645アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042上映中『パリのちいさなオーケストラ』女性であること、移民であること……夢を叶えるのに、こんな理不尽な壁が立ちはだかってよいのか、と思う。しかし現実はそうなのだ。それが自由と平等の国フランスであったとしても。この映画の主人公の、ザイア(ウーヤラ・アマムラ)とフェットゥマ((リナ・エル・アラビ)の姉妹もまた、そんな壁の前で悩み苦しむ。パリ郊外、パンタン。双子の姉妹はこの街でアルジェリア系移民として育つ。地元のクラシック音楽院でザイアはヴィオラを、フェットゥマはチェロを10年間学ぶ。最終学年でパリの名門音楽院に編入するも、経済的に恵まれた一部の生徒からの心ない言葉に失望する。ザイアは指揮者になりたいと願う。しかし女性の指揮者は世界でわずか6%。そんな困難の中、世界的指揮者セルジュ・チェリビダッケ(ニエル・アレストリュプ)との出会いによって、ザイアの道は少しずつ拓き始める。本編で流れるさまざまなクラシック音楽に彩られるかのような、さまざまな人生。ストライキで電車が止まると、音楽院の授業に間に合うよう暗い時刻に車を走らせ、ザイアとフェットゥマをパリまで送り届ける父。(子供たちがクラシックを目指すきっかけを作ったのが彼だった)。ザイアの友人ディランは、父からピアノとクラリネットを学ぶ。しかしその父は、何らかの理由で刑務所にいる。ザイアの師となるチェリビダッケは、音楽以外のすべてを捨て、孤独を抱えて生きてきた。ひときわ印象に残るシーンがある。ザイアとフェットゥマが地元のワークショップに参加しているときのことだ。ダウン症の女性が好奇心いっぱいにチェロを触っている。しかし、彼女にとって楽譜を読むことはとても難しく、チェロを学びたくとも学べない。フェットゥマは方法を考える。楽譜がなくても彼女がチェロを演奏できる方法を。そして、弦に色付きのステッカーを貼ることを思いつく。「一番高い音が出る弦は何色がいい?」。彼女と会話をしながらフェットゥマはステッカーを貼っていく……彼女の名はイザベル。実話がもととなっているこの映画で、イザベル自身が本人役で出演している。フェットゥマの弟子となったイザベルは、スクリーンの中だけでなく、実生活でも大きく羽ばたいていく。監督は、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール。彼女がカメラでとらえる市井の人々の数々の奇跡に、希望の光を見る。(Mika Tanaka)監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ2022年/フランス/114分À l’écranDivertimento de Marie-Castille Mention-Schaar avec Oulaya Amamra, Lina El Arabi, Niels Arestrup; 2022, France, 114 min新宿武蔵野館 03‐3354‐5670ヒューマントラストシネマ有楽町 03‐6259‐8608上映中(ヒューマントラストシネマ有楽町は、10月3日まで)ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭幻の傑作『私生活』を始めとする11作品を一挙上映!À l’écranRétrospective Brigitte Bardot『私生活』4Kレストア版 ( Vie privée)エレベーターで清掃員の女性と一緒になる。はじめは丁寧な口調だった清掃員だが、彼女がサングラスを外したとたん、罵倒を浴びせ始める。「あんたの顔は見飽きた。あんたはいったい何者?私の弟はアルジェリアで戦っているっていうのに。あんたに味方はいない、いい気味だ!」スイスの湖畔でバレエを学びながらのびのびと暮らしていたジル(ブリジット・バルドー)は、恋の苦しみから逃れるため、パリへ向かう。ふとしたことで女優となった彼女は、またたくまに売れっ子に。多くの男性が彼女に夢中になるが、スイスでの横恋慕を引きずったままのジルは、満たされない思いを抱えながら次々と男性を変え、その私生活はマスコミの餌食にされていく。監督は、ルイ・マル。エレベーターでのシーンはBB(ブリジット・バルドー)の実体験に基づく。パパラッチに追い回され、自分の行動が自分の意図しない方向に解釈され、またたくまに広がる。好きな人といたい、自由に街を歩きたい、そんなありふれた幸せを許されることのないジルは、ブリジット・バルドーその人だったのだろうか。への字の口元は不機嫌というより寂しげに、奔放さは自分の居場所を探し求めるかのように見える。シャルル・クロの詩に乗せてギターで歌う「シドニー」が物悲しい。ボロボロになったジルを受け入れるファビオを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニ。BBのポップな動きとマストロヤンニの優雅さが、イタリア・スポレートの古い街並みに調和して溶け込んでいく。ヴェルディの曲が流れるラストシーンのBBの表情は、いったい何を意味するのだろうか。監督:ルイ・マル出演:ブリジット・バルドー、マルチェロ・マストロヤンニ1962年/フランス・イタリア/104分/カラー『恋するオペラ』劇場初公開 Futures vedettes監督:マルク・アレグレ脚本:ロジェ・ヴァディム、マルク・アレグレ出演:ブリジット・バルドー、ジャン・マレー、イザベル・ピア1955年/フランス/93分/モノクロ『この神聖なるお転婆娘』 Cette sacrée gamine監督:ミシェル・ボワロン脚本:ロジェ・ヴァディム、ミシェル・ボワロン出演:ブリジット・バルドー、ジャン・ブルトニエール1956年/フランス/83分/カラー『裸で御免なさい』 En effeuillant la marguerite監督:マルク・アレグレ脚本:ロジェ・ヴァディム、マルク・アレグレ出演:ブリジット・バルドー、ダニエル・ジェラン1956年/フランス/102分/モノクロ『花嫁はあまりにも美しい』劇場初公開 La mariée est trop belle監督:ピエール・ガスパール=ユイ脚本:フィリップ・アゴスティ二、ジュリエット・サン=ジニエ出演:ブリジット・バルドー、ミシュリーヌ・プレール、ルイ・ジュールダン1956年/フランス/94分/モノクロ『殿方ご免遊ばせ』4Kレストア版 Une Parisienne監督:ミシェル・ボワロン出演:ブリジット・バルドー、シャルル・ボワイエ、アンリ・ヴィダル1957年/フランス/89分/カラー※新宿武蔵野館は2Kレストア版『可愛い悪魔』 En cas de malheur監督:クロード・オータン=ララ原作:ジョルジュ・シムノン出演:ブリジット・バルドー、ジャン・ギャバン1958年/フランス/117分/モノクロ『気分を出してもう一度』 Voulez-vous danser avec moi?監督:ミシェル・ボワロン出演:ブリジット・バルドー、アンリ・ヴィダル、ドーン・アダムス、セルジュ・ゲンズブール1959年/フランス・イタリア/92分/カラー『ビバ!マリア』 Viva Maria!監督:ルイ・マル脚本:ルイ・マル、ジャン・クロード=カリエール出演:ブリジット・バルドー、ジャンヌ・モロー1965年/フランス/116分/カラー『ラムの大通り』 Boulevard du Rhum監督:ロベール・アンリコ出演:ブリジット・バルドー、リノ・ヴァンチュラ、ギイ・マルシャン1971年/フランス/125分/カラー『ブリジット・バルドー 誤解』(ドキュメンタリー)劇場初公開 Bardot, la méprise監督:ダヴィッド・テブール出演:ブリジッド・バルドー、セルジュ・ゲンズブール、ロジェ・ヴァディム、ジャン・ルイ=トランティニャン、ジャン・リュック=ゴダール2013年/フランス/114分/カラーhttps://bb90th.com/アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042シネマ・ジャック&ベティ 045‐243‐9800アップリンク吉祥寺は10月3日(木)、シネマ・ジャック&ベティは10月4日(金)まで『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』ロアンヌ駅前。トロワグロ家のセザールとレオが顔なじみのマルシェを訪れる。鮮度のよい野菜たちを前に、会話がはずむ。次のシーンは父・ミシェルとのメニュー会議だ。開店前の仕込み、テーブルセッティング、スタッフミーティング、接客の様子……ナレーションも音楽もない。ありのままの日常をカメラがとらえる。厨房でもホールでも、そしてミーティングでも、常に会話が飛び交う。予約客の名前を読み上げ、アレルギーがあるか、苦手な食材があるか、入念に情報共有をするのだ。料理への情熱とおもてなしへの思いが言葉となり、その一言ひとことがくっきりとした輪郭を持つ。「火をよく通して、妊婦さんだ」、厨房ですばやく指示するミシェルの言葉が心に残る。1930年創業、55年に渡りミシュラン三つ星に輝き続けるフレンチレストラン「トロワグロ」。4年前、友人と訪れたこの場所での体験に感銘を受けたフレデリック・ワイズマン監督は、その場で「ドキュメンタリー映画を撮らせてもらえないか?」と尋ねる。4代目シェフのセザールから快諾の返事を受けたのは、その30分後のことだった。コロナ禍が落ち着いた2022年春に始まった撮影は、レストランのみならず、農場、牧場、チーズ工場へと広がっていく。「土が元気なら動植物が元気」、「すべては土壌から始まる」。生産者たちの声に耳を傾け、人の体に優しく環境に優しい食材を求める姿。大きな資本を持つ企業がバックにあるわけではない、「料理人のトロワグロ家」が4代に渡って人々の心をつかんだ理由を映画は教えてくれる。日本との縁が深いトロワグロファミリー。自家菜園で育てているシソは、料理の大切なアクセント。ミシェルが、自作のメレンゲのデザートに付けた名前を知ったとき、彼の日本への思いをあらためて知る。(Mika Tanaka)監督:フレデリック・ワイズマン出演:ミッシェル・トロワグロ、セザール・トロワグロ、レオ・トロワグロ、マリー=ピエール・トロワグロ2023年/仏語・英語/アメリカ/240分À l’écranMenus-Plaisirs - Les Troisgros de Frederick Wiseman avec Michel, Léo, César, Marie-Pierre Troisgros; 2023, France, USA, 240 minTOHOシネマズシャンテ 050-6868-5001kino cinema新宿 03-5315-0978上映中(Kino cinema 新宿、YEBISU GARDEN CINEMAは10月3日まで)『ボレロ 永遠の旋律』出だしは優しく穏やか。リズムもメロディもいたってシンプル。単調だが心地よい。少しずつ音は厚みを増し、気づくといつのまにか大きな流れに飲み込まれていく。モーリス・ラヴェルの『ボレロ』はそんな曲だ。甘美に聞こえるような気もするし、そっけなくも聞こえる。官能と無機質が同時に存在し得ることを証明するかのように。映画の冒頭では、さまざまな『ボレロ』が登場する。交響楽、ジャズ、マリアッチ……アフリカの子供たちの歌声も聞こえる。2025年は、フランスを代表する作曲家の1人、モーリス・ラヴェルの生誕150周年。それに先駆け彼の伝記映画を託されたのが、アンヌ・フォンティーヌ監督だ。彼女はラヴェルという人物を的確にとらえ、しなやかな想像の翼を広げながら”ボレロの誕生秘話”を紡いでいった。彼のすべてを愛してくれた母親(アンヌ・アルヴァロ)、彼の音楽のよき理解者であるピアニストのマルグリット(エマニュエル・ドゥヴォス)、彼の音楽を踊りで表現するダンサーのイダ(ジャンヌ・バリバール)、家政婦のルヴロ夫人(ソフィー・ギルマン)、娼館の娼婦たち、そして彼の永遠のミューズであるミシア(ドリア・ティリエ)。ラヴェルはさまざまな女性たちに支えられながら、人生と曲作りに悩み、迷い、譜面と向き合う。工場の機械音を聞きながら育った子供時代、第一次世界大戦に志願し体が虚弱で医療班に配属されたときの体験、ミシアへの複雑な思い……自分のことを愛しているかと問うラヴェルに、ミシアが答えたその”ひとこと”を『ボレロ』の旋律に乗せたとき、ひとつの真実が見えるかもしれない。(Mika Tanaka)監督:アンヌ・フォンテーヌ出演:ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール、ヴァンサン・ペレーズ、エマニュエル・ドゥヴォス2023年/フランス/121分À l’écranBoléro d’Anne Fontaine avec Raphaël Personnaz, Doria Tillier, Jeanne Balibar, Vincent Perez, Emmanuelle Devos; 2023, France, 121 min早稲田松竹 03‐3200‐896810月5日(土)〜11日(金)※二本立て早稲田松竹クラシックス vol.222/クレール・ドゥニ×レオス・カラックス× ハーマン・メルヴィル『ポーラX』監督:レオス・カラックス出演:ギョーム・ドパルデュー、カトリーヌ・ドヌーヴ、カテリーナ・ゴルベワ、デルフィーヌ・シュイヨー1999年/フランス・ドイツ・スイス・日本/134分『美しき仕事』4Kレストア版監督:クレール・ドゥニ出演:ドニ・ラヴァン、ミシェル・シュポール、グレゴワール・コラン、リシャール・クルセ1999年/フランス/93分/DCP/PG1210月5日(土)〜11日(金)レイトショー『汚れた血』監督:レオス・カラックス出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルビー1986年/フランス/119分/35mm
東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2024年10月2日