フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2024年10月2日
新宿シネマカリテ 03‐3352‐5645
アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042
[ストレンジャー] 080‐5295‐0597
 
10月4日(金)より
 
『ロール・ザ・ドラム!』
監督:フランソワ=クリストフ・マルザール
出演:ピエール・ミフスッド、パスカル・ドゥモロン、ザビーネ・ティモテオ、ジャン=リュック・ビドー、アメリ・ペテルリ
2019年/スイス/90分/フランス語・イタリア語
 
 

 
シネスイッチ銀座 03‐3561‐0707
アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042
 
上映中
Bonnard, Pierre et Marthe
Bonnard, Pierre et Marthe
Crédits : © 2023 - Les Films du Kiosque - France 3 Cinéma - Umedia – Volapuk

『画家ボナール ピエールとマルト』
 これだけの激しさが必要なのだろうか?
 誰かを傷つけて、自分を傷つけて、離れてもまた求め合い、また傷つけ合う。
 ここまで追いつめて追いつめられなければ、画家は名作を描くことはできないのだろうか?
 始まりはごくありふれたものだった。画家ピエールボナール(ヴァンサンマケーニュ)は、パリの街で出会ったマルト(セシルドゥフランス)に「モデルにならないか」と声をかける。どこにでもあるような出会いは月日を重ね絶対的な関係となり、マルトはピエールのミューズとなっていく……「幸福の画家」と呼ばれたピエールだが、私生活は決して穏やかといえるものではなかった。マルトから離れ、他の女性と逃げようとしても、彼の絵筆はマルトを描いてしまう。長くは生きられないと医師から告げられたマルトと、マルトなしでは生きていけなくなったピエールの残酷で濃密な関係。その狂気を演じる俳優たちから目が離せなくなる。
 監督は、マルタンプロヴォ。子供の頃、母親から贈られたボナールのポスターを部屋に貼り、その官能と神秘に魅了されてきたという。そんな彼のもとにマルトの姪の娘、ピエレット・ヴェルノンから「大叔母(マルト)についての映画をつくってほしい」という依頼が入る。マルトが十分に評価されていないというピエレットの思いをプロヴォ監督が引き受け、この映画が完成した。マルトは、ピエールの絵のモデルというだけの存在ではなかった。彼の絵に鋭い助言を与えることもあれば、自ら絵を描くこともあった。しかし、彼女は最初で最後の個展を開いた後、心を徐々に病んでいくのだ。最期までマルトと共に暮らし彼女を看取ったピエールは、果たして彼女に人生を束縛されてきたのだろうか。それとも、束縛されていたのはマルトの方だったのだろうか。映画が終わった後、むしょうにボナールの絵を見たくなる。彼の残した絵の中に、私たちは映画が描いていない真実のかけらをみつけることができるのかもしれない。(Mika Tanaka)
 
監督:マルタン・プロヴォ
出演:セシル・ドゥ・フランス、ヴァンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン、アヌーク・グランベール、アンドレ・マルコン
2023年/フランス/123分
配給:オンリーハーツ
 
À l’écran
Bonnard, Pierre et Marthe de Martin Provost avec Cécile de France, Vincent Macaigne, Stacy Martin, Anouk Grinberg, André Marcon; 2023, France, 123 min
 
 

 
新宿シネマカリテ 03‐3352‐5645
アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042
 
上映中
 
Divertimento
Divertimento
Crédits : © Easy Tiger / Estello Films / France 2 Cinéma

『パリのちいさなオーケストラ』
 女性であること、移民であること……夢を叶えるのに、こんな理不尽な壁が立ちはだかってよいのか、と思う。しかし現実はそうなのだ。それが自由と平等の国フランスであったとしても。この映画の主人公の、ザイア(ウーヤラ・アマムラ)とフェットゥマ((リナ・エル・アラビ)の姉妹もまた、そんな壁の前で悩み苦しむ。
 パリ郊外、パンタン。双子の姉妹はこの街でアルジェリア系移民として育つ。地元のクラシック音楽院でザイアはヴィオラを、フェットゥマはチェロを10年間学ぶ。最終学年でパリの名門音楽院に編入するも、経済的に恵まれた一部の生徒からの心ない言葉に失望する。
 ザイアは指揮者になりたいと願う。しかし女性の指揮者は世界でわずか6%。そんな困難の中、世界的指揮者セルジュ・チェリビダッケ(ニエル・アレストリュプ)との出会いによって、ザイアの道は少しずつ拓き始める。
 本編で流れるさまざまなクラシック音楽に彩られるかのような、さまざまな人生。ストライキで電車が止まると、音楽院の授業に間に合うよう暗い時刻に車を走らせ、ザイアとフェットゥマをパリまで送り届ける父。(子供たちがクラシックを目指すきっかけを作ったのが彼だった)。ザイアの友人ディランは、父からピアノとクラリネットを学ぶ。しかしその父は、何らかの理由で刑務所にいる。ザイアの師となるチェリビダッケは、音楽以外のすべてを捨て、孤独を抱えて生きてきた。 
 ひときわ印象に残るシーンがある。ザイアとフェットゥマが地元のワークショップに参加しているときのことだ。ダウン症の女性が好奇心いっぱいにチェロを触っている。しかし、彼女にとって楽譜を読むことはとても難しく、チェロを学びたくとも学べない。フェットゥマは方法を考える。楽譜がなくても彼女がチェロを演奏できる方法を。そして、弦に色付きのステッカーを貼ることを思いつく。「一番高い音が出る弦は何色がいい?」。彼女と会話をしながらフェットゥマはステッカーを貼っていく……彼女の名はイザベル。実話がもととなっているこの映画で、イザベル自身が本人役で出演している。フェットゥマの弟子となったイザベルは、スクリーンの中だけでなく、実生活でも大きく羽ばたいていく。
 監督は、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール。彼女がカメラでとらえる市井の人々の数々の奇跡に、希望の光を見る。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール
出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ
2022年/フランス/114分
 
À l’écran
Divertimento de Marie-Castille Mention-Schaar avec Oulaya Amamra, Lina El Arabi, Niels Arestrup; 2022, France, 114 min
 
 

 
新宿武蔵野館 03‐3354‐5670
 
上映中(ヒューマントラストシネマ有楽町は、10月3日まで)
 
ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭
幻の傑作『私生活』を始めとする11作品を一挙上映!
 
À l’écran
Rétrospective Brigitte Bardot
Vie privée
Vie privée

『私生活』4Kレストア版 ( Vie privée)
 
 エレベーターで清掃員の女性と一緒になる。はじめは丁寧な口調だった清掃員だが、彼女がサングラスを外したとたん、罵倒を浴びせ始める。
「あんたの顔は見飽きた。あんたはいったい何者?私の弟はアルジェリアで戦っているっていうのに。あんたに味方はいない、いい気味だ!」
 スイスの湖畔でバレエを学びながらのびのびと暮らしていたジル(ブリジット・バルドー)は、恋の苦しみから逃れるため、パリへ向かう。ふとしたことで女優となった彼女は、またたくまに売れっ子に。多くの男性が彼女に夢中になるが、スイスでの横恋慕を引きずったままのジルは、満たされない思いを抱えながら次々と男性を変え、その私生活はマスコミの餌食にされていく。
 監督は、ルイ・マル。エレベーターでのシーンはBB(ブリジット・バルドー)の実体験に基づく。パパラッチに追い回され、自分の行動が自分の意図しない方向に解釈され、またたくまに広がる。好きな人といたい、自由に街を歩きたい、そんなありふれた幸せを許されることのないジルは、ブリジット・バルドーその人だったのだろうか。
 への字の口元は不機嫌というより寂しげに、奔放さは自分の居場所を探し求めるかのように見える。シャルル・クロの詩に乗せてギターで歌う「シドニー」が物悲しい。ボロボロになったジルを受け入れるファビオを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニ。BBのポップな動きとマストロヤンニの優雅さが、イタリア・スポレートの古い街並みに調和して溶け込んでいく。ヴェルディの曲が流れるラストシーンのBBの表情は、いったい何を意味するのだろうか。
 
監督:ルイ・マル
出演:ブリジット・バルドー、マルチェロ・マストロヤンニ
1962年/フランス・イタリア/104分/カラー
 
『恋するオペラ』劇場初公開 Futures vedettes
監督:マルク・アレグレ
脚本:ロジェ・ヴァディム、マルク・アレグレ
出演:ブリジット・バルドー、ジャン・マレー、イザベル・ピア
1955年/フランス/93分/モノクロ
 
『この神聖なるお転婆娘』 Cette sacrée gamine
監督:ミシェル・ボワロン
脚本:ロジェ・ヴァディム、ミシェル・ボワロン
出演:ブリジット・バルドー、ジャン・ブルトニエール
1956年/フランス/83分/カラー
 
『裸で御免なさい』 En effeuillant la marguerite
監督:マルク・アレグレ
脚本:ロジェ・ヴァディム、マルク・アレグレ
出演:ブリジット・バルドー、ダニエル・ジェラン
1956年/フランス/102分/モノクロ
 
『花嫁はあまりにも美しい』劇場初公開 La mariée est trop belle
監督:ピエール・ガスパール=ユイ
脚本:フィリップ・アゴスティ二、ジュリエット・サン=ジニエ
出演:ブリジット・バルドー、ミシュリーヌ・プレール、ルイ・ジュールダン
1956年/フランス/94分/モノクロ
 
『殿方ご免遊ばせ』4Kレストア版 Une Parisienne
監督:ミシェル・ボワロン
出演:ブリジット・バルドー、シャルル・ボワイエ、アンリ・ヴィダル
1957年/フランス/89分/カラー
※新宿武蔵野館は2Kレストア版
 
『可愛い悪魔』 En cas de malheur
監督:クロード・オータン=ララ
原作:ジョルジュ・シムノン
出演:ブリジット・バルドー、ジャン・ギャバン
1958年/フランス/117分/モノクロ
 
『気分を出してもう一度』 Voulez-vous danser avec moi?
監督:ミシェル・ボワロン
出演:ブリジット・バルドー、アンリ・ヴィダル、ドーン・アダムス、セルジュ・ゲンズブール
1959年/フランス・イタリア/92分/カラー
 
『ビバ!マリア』 Viva Maria!
監督:ルイ・マル
脚本:ルイ・マル、ジャン・クロード=カリエール
出演:ブリジット・バルドー、ジャンヌ・モロー
1965年/フランス/116分/カラー
 
『ラムの大通り』 Boulevard du Rhum
監督:ロベール・アンリコ
出演:ブリジット・バルドー、リノ・ヴァンチュラ、ギイ・マルシャン
1971年/フランス/125分/カラー
 
『ブリジット・バルドー 誤解』(ドキュメンタリー)劇場初公開 Bardot, la méprise
監督:ダヴィッド・テブール
出演:ブリジッド・バルドー、セルジュ・ゲンズブール、ロジェ・ヴァディム、ジャン・ルイ=トランティニャン、ジャン・リュック=ゴダール
2013年/フランス/114分/カラー
 
 

 
アップリンク吉祥寺 0422‐66‐5042
 
アップリンク吉祥寺は10月3日(木)、シネマ・ジャック&ベティは10月4日(金)まで
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『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』
ロアンヌ駅前。トロワグロ家のセザールとレオが顔なじみのマルシェを訪れる。鮮度のよい野菜たちを前に、会話がはずむ。次のシーンは父・ミシェルとのメニュー会議だ。開店前の仕込み、テーブルセッティング、スタッフミーティング、接客の様子……ナレーションも音楽もない。ありのままの日常をカメラがとらえる。厨房でもホールでも、そしてミーティングでも、常に会話が飛び交う。予約客の名前を読み上げ、アレルギーがあるか、苦手な食材があるか、入念に情報共有をするのだ。料理への情熱とおもてなしへの思いが言葉となり、その一言ひとことがくっきりとした輪郭を持つ。「火をよく通して、妊婦さんだ」、厨房ですばやく指示するミシェルの言葉が心に残る。
 1930年創業、55年に渡りミシュラン三つ星に輝き続けるフレンチレストラン「トロワグロ」。4年前、友人と訪れたこの場所での体験に感銘を受けたフレデリック・ワイズマン監督は、その場で「ドキュメンタリー映画を撮らせてもらえないか?」と尋ねる。4代目シェフのセザールから快諾の返事を受けたのは、その30分後のことだった。コロナ禍が落ち着いた2022年春に始まった撮影は、レストランのみならず、農場、牧場、チーズ工場へと広がっていく。「土が元気なら動植物が元気」、「すべては土壌から始まる」。生産者たちの声に耳を傾け、人の体に優しく環境に優しい食材を求める姿。大きな資本を持つ企業がバックにあるわけではない、「料理人のトロワグロ家」が4代に渡って人々の心をつかんだ理由を映画は教えてくれる。
日本との縁が深いトロワグロファミリー。自家菜園で育てているシソは、料理の大切なアクセント。ミシェルが、自作のメレンゲのデザートに付けた名前を知ったとき、彼の日本への思いをあらためて知る。(Mika Tanaka)
 
監督:フレデリック・ワイズマン
出演:ミッシェル・トロワグロ、セザール・トロワグロ、レオ・トロワグロ、マリー=ピエール・トロワグロ
2023年/仏語・英語/アメリカ/240分
 
À l’écran
Menus-Plaisirs - Les Troisgros de Frederick Wiseman avec Michel, Léo, César, Marie-Pierre Troisgros; 2023, France, USA, 240 min
 
 

 
kino cinema新宿 03-5315-0978
 
上映中(Kino cinema 新宿、YEBISU GARDEN CINEMAは10月3日まで)
Boléro
Boléro
Crédits : © 2023 CINÉ-@ - CINÉFRANCE STUDIOS - F COMME FILM - SND - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS

『ボレロ 永遠の旋律』
 
 出だしは優しく穏やか。リズムもメロディもいたってシンプル。単調だが心地よい。少しずつ音は厚みを増し、気づくといつのまにか大きな流れに飲み込まれていく。
モーリス・ラヴェルの『ボレロ』はそんな曲だ。甘美に聞こえるような気もするし、そっけなくも聞こえる。官能と無機質が同時に存在し得ることを証明するかのように。
映画の冒頭では、さまざまな『ボレロ』が登場する。交響楽、ジャズ、マリアッチ……アフリカの子供たちの歌声も聞こえる。
2025年は、フランスを代表する作曲家の1人、モーリス・ラヴェルの生誕150周年。それに先駆け彼の伝記映画を託されたのが、アンヌ・フォンティーヌ監督だ。彼女はラヴェルという人物を的確にとらえ、しなやかな想像の翼を広げながら”ボレロの誕生秘話”を紡いでいった。彼のすべてを愛してくれた母親(アンヌ・アルヴァロ)、彼の音楽のよき理解者であるピアニストのマルグリット(エマニュエル・ドゥヴォス)、彼の音楽を踊りで表現するダンサーのイダ(ジャンヌ・バリバール)、家政婦のルヴロ夫人(ソフィー・ギルマン)、娼館の娼婦たち、そして彼の永遠のミューズであるミシア(ドリア・ティリエ)。ラヴェルはさまざまな女性たちに支えられながら、人生と曲作りに悩み、迷い、譜面と向き合う。工場の機械音を聞きながら育った子供時代、第一次世界大戦に志願し体が虚弱で医療班に配属されたときの体験、ミシアへの複雑な思い……自分のことを愛しているかと問うラヴェルに、ミシアが答えたその”ひとこと”を『ボレロ』の旋律に乗せたとき、ひとつの真実が見えるかもしれない。(Mika Tanaka)
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール、ヴァンサン・ペレーズ、エマニュエル・ドゥヴォス
2023年/フランス/121分
 
À l’écran
Boléro d’Anne Fontaine avec Raphaël Personnaz, Doria Tillier, Jeanne Balibar, Vincent Perez, Emmanuelle Devos; 2023, France, 121 min
 
 

 
早稲田松竹 03‐3200‐8968
 
10月5日(土)〜11日(金)
※二本立て
 
早稲田松竹クラシックス vol.222/クレール・ドゥニ×レオス・カラックス× ハーマン・メルヴィル
 
『ポーラX』
監督:レオス・カラックス
出演:ギョーム・ドパルデュー、カトリーヌ・ドヌーヴ、カテリーナ・ゴルベワ、デルフィーヌ・シュイヨー
1999年/フランス・ドイツ・スイス・日本/134分
 
『美しき仕事』4Kレストア版
監督:クレール・ドゥニ
出演:ドニ・ラヴァン、ミシェル・シュポール、グレゴワール・コラン、リシャール・クルセ
1999年/フランス/93分/DCPPG12
 
10月5日(土)〜11日(金)
レイトショー
『汚れた血』
監督:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルビー
1986年/フランス/119分/35mm
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