『天国でまた会おう』第一次世界大戦末期の1918年11月。映画はここから始まる。生き埋めにされかけたアルベール(アルベール・デュポンテル)は、若いフランス軍兵士、エドゥアール・ペリクール(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)によって助け出される。が、その直後の爆撃で、エドゥアールは顔の半分を失ってしまう。仕事を失い婚約者にも逃げられたアルベールは、帰還兵に冷たい世間の荒波の中でエドゥアールと共に生活を始める。心と顔の傷を癒せず、世の中に背を向け続けるエドゥアール。そんな彼に寄り添う、孤児のルイーズ(エロイーズ・バルステール)。美術の才に溢れるエドゥアールは、やがて自分の顔を手製の美しい仮面で飾り始める。そしてあるとき、彼はとてつもなくスケールの大きい「詐欺」を思いつく——監督は、主演を演じるアルベール・デュポンテル。「ウッディ・アレンやチャップリンにはとても及ばない、自分は予算の関係で主演を演じただけ」と語るけれど、この映画を見れば彼の力の大きさは一目瞭然だ。文学や芸術への造詣の深さは、キラキラした華麗な映像を展開させ、俳優たちの素質を見抜く力は、奥深いドラマを紡ぎ出す。ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートの透明感のある大きな目とダンサブルな動き、ローラン・ラフィットの悪役ぶり……目が離せないのが、この映画が初出演となる、子役のエロイーズ・バルステール。デュポンテル監督は、街を歩く子供たちの中からダイヤの原石をみつけ出した。「『何が好き?』と聞いたら、『歌うのが大好き!』と言って歌い出したんだ。とても下手なんだけど、ずーっと歌ってくれて、それで決定したよ」。チャップリンの映画『キッド』のジャッキー・クーガンの扮装をまとい、レ・ミゼラブルのガヴローシュのような存在感でスクリーンを闊歩するお茶目な少女が、ラストシーンでどんな役割を演じるか、見逃さないで。(Mika Tanaka)原作:ピエール・ルメートル監督:アルベール・デュポンテル出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルベール・デュポンテル、ローラン・ラフィット、ニエル・アレストリュプ、エミリー・ドゥケンヌ、メラニー・ティエリー ほか2017年/フランス/117分Au revoir là-haut de et avec Albert Dupontel avec Laurent Lafitte, Émilie Dequenne, Niels Arestrup, Mélanie Thierry 2017, France, 117 mn
『天国でまた会おう』Au revoir là-haut