気づくと30周年を迎える。横浜、六本木、有楽町、そして再び会場を横浜に移し、コロナ禍においても地道に開催を続けてきたフランス映画祭。今年も無事開催されることを知り安堵した古くからのファンも多いのではないだろうか。今年の上映は11作品。19世紀から20世紀にかけて移り変わるパリの様子を観察できるのが嬉しい。「幻滅」(Illusions Perdues)は19世紀前半のパリが、オープニング作品の「EIFFEL」は、19世紀後半のパリが舞台だ。人気推理小説が原作の「メグレ(仮)」(MAIGRET)では1953年頃の、そして「The Passengers of the Night (LES PASSAGERS DE LA NUIT)」では1981年頃のちょっぴり懐かしいパリが描かれる。エネルギッシュな女性たちは今年も健在。「フルタイム(À PLEIN TEMPS)」、「The Passengers of the Night (LES PASSAGERS DE LA NUIT)」、「ワン・ファイン・モーニング(仮)(UN BEAU MATIN)」ではシングルマザーたちの奮闘ぶりが、「ロデオ(Rodeo)」では男社会に乗り込んでいく若い女性のチャレンジが、ノーベル文学賞受賞のニュースで記憶に新しいアニー・エルノーの小説が原作の「あのこと(L’événement)」では、予期せぬ妊娠に悩む大学生の決断が、「VORTEX」では認知症を患う高齢の母の最期の時間が、私たちに問いを投げかける。そして、温かみのある質感のアニメーション……長編「イヌとイタリア人、お断り!(Interdit aux chiens et aux Italiens)」や個性溢れる短編アニメーションは、図画工作に親しんだ私たちの童心をめざめさせてくれるかもしれない。 (Mika Tanaka)期間:2022年12月1日(木)~12月4日(日) 全4日間会場:みなとみらい21地区 ほか
フランス映画祭 2022(30周年) 30e Festival du film français au Japon 2022
投稿日 2022年11月16日
最後に更新されたのは 2023年5月25日