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『午前4時にパリの夜は明ける』 Les passagers de la nuit
Les passagers de la nuit
© 2021 NORD-OUEST FILMSARTE FRANCE CINÉMA

『午前4時にパリの夜は明ける』
「”夜の乗客”の皆さん、5月11日になりました」。深夜ラジオで、ヴァンダ(エマニュエル・ベアール)の穏やかな声が午前0時を告げた。時は1981年。ミッテラン大統領が就任し、変革の気配が漂い始めたパリから物語は始まる。
そして1984年。あるアパートの1室で父と娘が神妙な面持ちで話をしている。娘の名はエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)、2人の子供の母親だ。夫は他の女性と暮らし始め、これからどうやって子供たちと生きていけばよいのか、途方に暮れている。やがてラジオ番組“夜の乗客”のパーソナリティ・ヴァンダと出会ったエリザベートは、リスナーからの電話を取り次ぐ受付業務を任されるように。あるとき番組ゲストとして局を訪れたタルラ(ノエ・アビタ)の身の上を知ったエリザベートは、彼女を家に招き入れる……深夜ラジオの存在感が今よりもずっと大きく、今よりももっと多くの人たちがラジオを必要としていたあの頃。眠れない夜の枕元に置いたラジオを通して、やるせないそれぞれの心が緩くつながっていたあの頃。1975年生まれのミカエル・アース監督が再現した1980年代の空気は、今よりも少し時の流れが緩やかで、色彩には温かさが感じられる。朝もやにかすむ自由の女神とその先に見えるエッフェル塔の何と美しいこと!
1980年代を代表する女優のひとりパスカル・オジェとの再会に、懐かしさがこみあげた人もいるのではないだろうか。エリック・ロメール、ジャック・リヴェット、ジョー・ダッサン……ちりばめられた数々のオマージュが放つ音と光に埋もれながら、過去に置いてきたもの、取り戻したいものを考えてみたくなった。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:ミカエル・アース
出演:シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、メーガン・ノータム、エマニュエル・べアール
2022年/111分/R-15
 
Les passagers de la nuit de Mikhael Hers avec Charlotte Gainsbourg, Quito Rayon-Richter, Noée Abita, Emmanuelle Béart; 2022, France, 11min, R-15
 
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