『ウィ、シェフ!』舞台はフランスの港町、ダンケルク。「私には目標がある。自分のレストランを持ち、自分の思う通りの料理を作ること」誇り高きカティ・マリーは、一流レストランのシェフの命令に対して 「ウィ、シェフ」と従順に応えることができない。自分を認めてくれる「もっといい場所」を求めてたどり着いたのは、移民支援施設のまかないの仕事だった。「住み込みで1ヶ月1450ユーロ、開業資金を貯めるまでの辛抱」と親友のファトゥ(ファトゥ・カバ)に言われたものの、たった1人で食べ盛りの子供たちの食事を時間内に用意するのは至難の業。施設長のロレンゾ・カルディ(フランソワ・クリュゼ)は「施設の子供たちをアシスタントにしては」と提案する。児童養護施設で育ったカティと、いつ本国に送還されてもおかしくない状況にいる少年たち。彼らの奥底にある何かが呼応し、大きな「何か」が始まろうとしていた……実際 にパリの移民支援施設で暮らす若者たち300人以上がオーディションに参加し、この映画の役を勝ち取った。「移民の子供たちがフランスで安定した生活を手に入れるため、調理師として育成する」という取り組みは、実在のシェフ、カトリーヌ・グロージャンによるもの。カティがなぜシェフに逆らってでも自分を貫こうとしたのか、 なぜマルセル・プルーストを愛するのか、その鍵はカトリーヌ・グロージャン自身がカメオ出演する短いワンシーンに隠されている。映画の後半で少年たちが元気よく応える「ウィ、シェフ!」の響きに、こちらも笑顔でいっぱいになる。(Mika Tanaka)監督・脚本:ルイ=ジュリアン・プティ出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ2022年/97分La brigade de Louis-Julien Petit avec Audrey Lamy, Francois Cluzet, Chantal Neuwirth, Fatou Kaba; 2022, France, 97 min配給: アルバトロス・フィルム
『ウィ、シェフ!』 La brigade