フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
〒169−0075新宿区高田馬場1−31−8−428
1-31-8-428 Takadanobaba, Shinjuku-ku, 169-0075 Tokyo

Tel: 03-5272-3440
E-mail:contact@franc-parler.jp
http://franc-parler.jp

『私生活』4Kレストア版 ( Vie privée
Vie privée
Vie privée

『私生活』4Kレストア版
 
 エレベーターで清掃員の女性と一緒になる。はじめは丁寧な口調だった清掃員だが、彼女がサングラスを外したとたん、罵倒を浴びせ始める。
「あんたの顔は見飽きた。あんたはいったい何者?私の弟はアルジェリアで戦っているっていうのに。あんたに味方はいない、いい気味だ!」
 スイスの湖畔でバレエを学びながらのびのびと暮らしていたジル(ブリジット・バルドー)は、恋の苦しみから逃れるため、パリへ向かう。ふとしたことで女優となった彼女は、またたくまに売れっ子に。多くの男性が彼女に夢中になるが、スイスでの横恋慕を引きずったままのジルは、満たされない思いを抱えながら次々と男性を変え、その私生活はマスコミの餌食にされていく。
 監督は、ルイ・マル。エレベーターでのシーンはBB(ブリジット・バルドー)の実体験に基づく。パパラッチに追い回され、自分の行動が自分の意図しない方向に解釈され、またたくまに広がる。好きな人といたい、自由に街を歩きたい、そんなありふれた幸せを許されることのないジルは、ブリジット・バルドーその人だったのだろうか。
 への字の口元は不機嫌というより寂しげに、奔放さは自分の居場所を探し求めるかのように見える。シャルル・クロの詩に乗せてギターで歌う「シドニー」が物悲しい。ボロボロになったジルを受け入れるファビオを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニ。BBのポップな動きとマストロヤンニの優雅さが、イタリア・スポレートの古い街並みに調和して溶け込んでいく。ヴェルディの曲が流れるラストシーンのBBの表情は、いったい何を意味するのだろうか。
 
監督:ルイ・マル
出演:ブリジット・バルドー、マルチェロ・マストロヤンニ
1962年/フランス・イタリア/104分/カラー
 
Vie privée de Louis Malle avec Brigitte Bardot, Marcello Mastroianni; 1962, France, Italie, 104 min
 
qrcode:http://www.franc-parler.jp/spip.php?article1611