ロラン・バルテレミー:チーズのために尽くすチーズはワインやパン同様、フランスの食卓を代表する発酵食品である。このことからチーズ職人のギルドはフランスにおける第2の食品組合となっている。そしてその長であるロラン・バルテレミーのその製品に対する話は尽きることがない。フラン・パルレ:あなたは「フランス優秀職人賞」においても、チーズ部門の議長でいらっしゃいますね。チーズ職人と「フランス優秀職人賞(MOF)」とはどういう関係だと思われますか?ロラン・バルテレミー:その関係は、そのものだ、ということです。よく理解しておかなければならないのは、フランスでは、チーズ職人という職業は大変大きな雇用の源であるということです。これは同時に国家遺産の大変重要な根源です。そしてこの国家遺産は国家資格によって価値を付与されるべきです。文部省が1924年以来、専門技術職の編成を任されていて、専門技術職でも特に建築系の技術職が重視されました。それから何十年かを経て、1963年まで待たなければなりませんでしたが、食に関する職業が専門技術職の仲間入りをしました。実際、ポール・ボキューズという先導者のうちの一人が初めに料理専門職を加入させたのです。ほどなくフランスの食文化の他の主要な職業がこれに続きました。すなわちパティシエ、パン職人、肉屋もまた紛れも無い職業ですし、それからデリカテッセンを扱うケータリング業、アイスクリーム屋、そしてチーズ職人は2000年に加入しました。私にとっては、正確には1997年、3回の働きかけの後と認識していますが。それは長く困難な道のりでした。許可をとり、評価を点数化し、一つの職業を認知してもらうための資格を得るには、完全に道理にかなった枷をはめる必要があります。それ故に、1997年、当時の文部大臣の下、私は主張を認められたのです。そこから乳業組合が私を(MOFチーズ部門の)議長に指名し、私に一般内規、国家選出基準を作るように任命したのです。フラン・パルレ:このコンクールはどのように進んでいくのですか?ロラン・バルテレミー:これは二期に分けて行うコンクールです。何故なら全国大会への選考会と最終選考会があるからです。まとめると、それぞれの試験は3つに大きく分けられています:ひとつは仕事に関する部分で、仕事の知識です。次に味の鑑定士による原材料の知識で、そこからは、受験者は様々な質問、(チーズ等の)外観について回答し、また味覚テストにも参加しなければなりません。三番目のテストはプレゼンテーションの審査員によって審査されます:与えられたテーマ及び決められた寸法に基づく傑作は、最も代表的な、最も選りすぐりのフランスのチーズ部門の財産であるべきです。フラン・パルレ:フランスにおけるチーズの消費の仕方の傾向はどのようなものですか?ロラン・バルテレミー:皆、本当に風味のあるチーズ、すなわち特徴のある、原産地の強い特有性があるチーズを求めています。それから、これは常にフレンチ・パラドックスなのですが、ここではクリームチーズと呼びましょうか、そういったチーズへの強い心酔があります。これは、よりクリーミーな、より柔らかい、よりフレッシュなチーズなので、容易に調理したり、味付けしたり出来ます。それが、少しとろりとした、ペースト状のフレッシュチーズの誕生につながり、皆それをとても簡単に甘味のある材料と合わせています。フラン・パルレ:チーズ職人の仕事とはどのようなことから成るのですか?ロラン・バルテレミー:鎖の初めの一環は、液体を固体に変えることにあります。そしてチーズ職人はそれを五感に訴える完全な品質まで持って行かなければならない、すなわち活きている、進化する原料の精製を最善の状態にするということです。一言でまとめるならば、チーズ職人は、初めは液状の原料を、香りと風味の最大の進化によって最高級の食用の状態に持って行くべき人間です。フラン・パルレ:フランスにおけるチーズの種類は幾つありますか?ロラン・バルテレミー:直近で2003年に、乳業に関する資料・情報センター、CIDILと呼ばれていますが、ここが大規模な調査をおこないました。同調査では、新旧取り混ぜて1001種類のチーズが存在しました。私個人では「世界のチーズ」という文献の中で、あらゆる特徴、フランスの山羊チーズの小さな生産業者の特性を考慮しながら、集めてみたところ、その数が本当に多かったので、確かに私は1000種のチーズの域に達しました。私達の社会のかつての変遷は生産者の消滅とそれに伴うノウハウの消滅を生じました。幸いにもいくつかの記述や、道具なども残っていたなら、一世代か二世代飛ばすこともありますが、新しい世代が道具を再び手にしたその時、復活が見られるのです。それから各地の古いチーズのレシピの中では、私は「ジョンシェ・ニオルテーズ」のことをお話したいです。このフレッシュチーズは生のまま、ポワトゥの沼地のほとりで切ったい草のなかに折って保存されます。別の地方では、サヴォワ地方のボージュ山地の方で「ボージュ山地のトム(サヴォア地方産のチーズ)」という名前で、原産地呼称統制(AOC)で認知されたばかりのチーズがあります。そこでは「ボワット(箱)」と呼ばれるとても限定された製法が存在していました。そのチーズは柔らかいペーストで、ウォッシュされた堅い表皮で覆われていて、それをもみの木の樹皮で囲むのです。勿論ジュラ地方では完全に認知されています。そこでは「ヴァシュラン・デュ・オー・ドゥ」または「モン・ドール」という2つの呼び名で呼ばれています。ところで「ヴァシュラン・デ・ボージュ」については別の特徴をもった、別のペーストの特性を持った製品がわずかに存在していたのですが、地元の子である2人の製造業者が彼らの祖父の代のレシピを再びとりあげ、「ヴァシュラン・デ・ボージュ」を再生したのです。以上がいくつかの例です。「ペルスィエ・ド・ティーニュ(ブルーチーズ)」も挙げられますね。だから(将来の)希望はあるのです。フラン・パルレどのタイミングでチーズは冷蔵庫から出すべきでしょうか?ロラン・バルテレミー:私がお薦めするのは、チーズを包装されているままの紙に包んだまま、タッパーウェアなどの密封タイプの容器に入れて、食べるその時まで冷所に保管することです。そして食卓を整える時に、それを出して、空気に触れさせる為にワインを開けるように、少し置いておきます。もしチーズを食材として使いたい場合は、チーズは切る時には冷たくしておかないといけないので、最後に冷蔵庫から出すことです。それを輪切りにして、スライスして、他の材料と調理していると食する頃には常温に戻っていることでしょう。2006年12月インタヴュー:プリュウ・エリック翻訳:粟野みゆき
ロラン・バルテレミ−、チーズ職人、「フランス優秀職人賞」チーズ部門議長
投稿日 2006年12月1日
最後に更新されたのは 2023年5月25日