フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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ミシェル・オスロ、アニメ映画『キリク』監督
投稿日 2005年10月1日
最後に更新されたのは 2023年5月25日
ミシェル・オスロ:初めに主題ありき
 
成功が次作を呼んで、小さいキリクを主人公にした2番目のアニメ映画がこの12月フランスで公開される。作られた幼さとは対極をいくミシェル・オスロは子供と大人を同じスクリーンの前に集める術を持っている。
 
©Franc-Parler

フラン・パルレ:初めに日本のアニメについてー言お願いします。
ミシェル・オスロ:西欧では排斥傾向にあったのですが、それでもだんだん収まってきました。なぜなら日本製アニメの侵略があったからです。これは日本人によって決断されたのでは全くないのです。これはフランスのテレビ局が、おや、高くないね、日本製を買おう、と考えたからですが、これがどんどん増えたのです。一方ではジブリの作品のように面白く独創性のある映画もあります。この侵略は実際とてもポジティブなものです、なぜなら私の今の共同スタッフは一連の日本製アニメ育ちで、クリエイターでもあるからです。これらのアニメは、いつもの内容のないものとは異なっていたので、人々にアニメへの興味を持たせたのです。そしていまでは大人になった多くの人々がまだなおアニメを求めているのです。そのことは私が成長するのを助けてもくれます。
 
フラン・パルレ:あなたはどんな方法で制作されるのですか?大きなチームで仕事されているのですか?
ミシェル・オスロ:私は常に小さなチームでするのが好きです。まず私一人で仕事します。私は常に作者であり、画家であり、演出家なのです。私は静寂と孤独の中で幾つかのクロッキーをもとに描き始めます。それから少しずつ人が手伝いに来るのです。短編映画をやっている頃、私は殆どをたった一人で作っていました。でも短編よりも少し長いものを作るようになると、チームを持ちました。私は常にストーリーボードをつくります。ストーリーボードを元に、チームが出来てアニメーター達に仕事を割り振るのです。これが大仕事なのです。仕事は少なくとも1年から数年続き、過ぎて行く歳月とともに、経験が蓄積されます。徐々に、私はとても良質な映画を作るのを手伝ってくれる申し分のない、完璧な人達のチームを作りあげているところです。
 
Kirikou et les bêtes sauvages

フラン・パルレ:つまり静寂は重要だということですか?
ミシェル・オスロ:私は静寂がとても好きです。私は世界中の国々のあちらこちらでのべつ幕無しに使われている音楽にイライラさせられています。もはや静寂は許されないのです。私の映画には静寂もあります。静寂も景観と感覚の一部をなすのです。静寂はとても強烈になり得ますし、誰もそれを使わないから、より強烈になるのです。だから私はそれをなおさら好んで用いるのです。時々、私は動作に音を要求します。私は音が好きですし、音楽も好きです。まさに日本においても同様だと私は思います。いたるところに音楽があり、人々は音楽の中で仕事をしています。私にとってはもしそこに音楽があったなら、彼らは考えていないということです。起床時には、既にラジオが目覚めさせ、言葉と音楽がそこにあるのです。そしてこの状態が夜まで、死ぬまで続くのです。
 
フラン・パルレ:あなたの仕事の中での創造と技術の割合はどうですか?
ミシェル・オスロ:技術は二次的なものですが常に存在しています。私はまず私が話してきかせたい物語を考えます。何よりもまずそれです、語りたい面白い話が映画作品の80%なのです。それから、技術ですが、これは金次第で、私の好みによらないのです。私の短編映画は普通、切り絵で作られていたのですが、これは安い値段だからです。技術面でいうとこれは伝統的なアニメの手法より早くできるのです。だから私はあらゆる安い技術を経験し、今はとても高価な技術3Dを使っています。なぜならこれを試してみたかったからです。でもこれらは道具にすぎません。それでも道具は親しみを持って使うべきで、それを偽ろうとしてはいけないのです。私は私がどのようにものを作っているかを隠さないように努めています。何人かがやっているように、切り絵でセル画を作ろうとしたり、3DでCE(セル画)を作ろうとしたり、しないようにしようと努めています。
 
Kirikou et les bêtes sauvages

フラン・パルレ:キリクでは、想像の世界が完全にアフリカですね、何故ですか?
ミシェル・オスロ:想像の世界だけではないですよ。わたしの妖精物語は現実を知らしめる役目を担っています。私はとてもまじめな話をしていて、良い材料を提供していると思います。キリクは複数の理由からアフリカ人にしました。私は芸術家として、黒人文化の映画を作りたかったのです。誰も一度も作ったことがなく、私は美しい褐色の身体が彩色された背景からくっきり浮き出るのを本当に見てみたいと思っていました。主な理由は、私が偶然ある物語に出会い、実際しびれてしまったからです。それで「キリクと魔女」の冒頭では殆どその物語の筋通り使わせてもらったのです。それは素晴らしい冒頭です。この物語を読みながら、私はメモをとりました。その間に私の観点から話を少し変えましたが、映画は特にその物語から来ているのです。卓越した冒頭に出会って、一人の小さな子供が私を完全に魅了したのです。それがアフリカの話であっても、ぴったりはまったのです。第一には芸術家としての欲求に。そして私のアフリカでの子供時代に。小さい頃、私はギニアのコナクリで学校に通っていました。それが私の少年時代です。私がとても良く覚えている少年時代。だからこの作品を通じて私の少年時代について語ること、全てがうまくいき、いつも好意的な人々としか関わりがなかった国について語ることは心地良いことです。暴力は存在していませんでした。
 
フラン・パルレ:魔女もいなかったのですか?
ミシェル・オスロ:魔女はいたかもしれませんが、私にとっては存在していませんでした。それは平和なフランスの植民地時代でした。私は人々の美しさ、その均斉のとれた様、身体を思い出します。特別に隠すことのない身体。特別に隠すことのない身体で行うこと。これら全ては完璧に均衡がとれていて、そのことを人々に伝えることは興味深いことでした。アフリカについてはこんなところです。
 
Kirikou et les bêtes sauvages

フラン・パルレ:何故あなたは、この名称が正しければ、アニメーターになったのですか?
ミシェル・オスロ:その用語はそれで完璧です、言うなればアニメ映画の監督です。でもまさに私はアニメーターで、私の全ての短編映画を動かしてきました。ところで、成る方法ですが、少年時代から始めることです、これは私が実行したことです。まず幼い頃から、私はそれが大好きでした。私はとても楽しみました。私は他の人を仕切っていました。私は描いて、決して描くのを止めませんでした。私はクリスマスのために家を装飾したり、小さなプレゼントを作ったりしました。それから次に私はマリオネットの劇を作りました。そして読書し、執筆し、詩作をし、作曲したり、ダンスを考えたり、芝居を創ったり、そういったあらゆることをしました。全体として、生まれた時から、私は同じ仕事をしているのです。これがオーバーラップしてくるのです。私はいつアニメーターになったのかわかりません。そのことに20歳になってからしか気づきませんでした。私はテレビのない環境にいて、映画も殆ど行かなかったのでそこは完全に異質な空間でした。私はこの職業に就けるか想像できませんでしたが、それが出来ると実感した時、そのことが私を満足させました。なぜならそれが私のしたかったこと全てを集約しているからです。
 
フラン・パルレ:絵は他の国に下請けに出しているのですか?
ミシェル・オスロ:フランスのアニメーションは何でも量では世界第3位のようですが、フランスでは作っていませんでした。初めてのキリクはブダペストとバルト海に面した(ラトビア共和国の首都)リガで作られました。「キリクと野獣たち」はベトナムで作られ、少しはリガでも作られました。それはとても良い解決策ではありませんでした。なぜならそれは遠くで作られ、いつもお互いに理解しあえるわけではなく、時間が無駄になるからです。特に同じ場所に居ないのでお互いに理解できないのです。時々、お互いに会っている者もいますが、十分とはいえません。それで「アシュールとアスマール」では、私は極上の贅沢を自分に贈りました:私は自分の映画を自分の町で作っているのです。私が飛行機を使わずに毎日会っている人々と。そのおかげでとても良い作品を作っているところなのです。
 
2005年10月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:粟野みゆき
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