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ジャン・ジョレス 1859-1914  ヴァンサン・デュクレール著
投稿日 2015年10月29日
最後に更新されたのは 2023年5月23日

S Kobayashi 著者:

ジャン・ジョレス 1859-1914
ヴァンサン・デュクレール著
大嶋厚訳
Jaurès 1859-1914, la politique et la légende de Vincent Duclert
吉田書店
価格:3900円+税
ISBN978-4-905497-36-3

ジャン・ジョレス(1859〜1914)は、日本ではほとんど知られてはいないが、フランス人にとっては、記憶に深く刻まれている政治家である。社会主義者であるジョレスは、左派の象徴的存在であるのみならず、共和国の価値観を体現しているフランス史上の大人物である。
彼は自らの雄弁家としての能力を発揮し、フランスの社会主義運動の中心人物として積極的に活動をし、1894年に起こったドレフュス事件(フランス陸軍大尉であったユダヤ人のアルフレッド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件。)においては、彼を養護する立場から著作『証拠』を刊行した。そして、平和主義者として、第一次世界大戦の開戦を阻止する為にフランスとドイツの和解に向けて尽力したが、そのさなか暗殺によって命を奪われた。彼は、その生涯を通じて、正義のため、公平のため、平和のため、政治と宗教の分離のため、つまりは共和国と民主主義の確立のために闘った。
本書はそのジャン・ジョレスの生涯と死後の運命を描いたものである。本書の特色は第一に、彼の生涯のみならず、死後になってフランス史を飾る大人物の一人としての評価を獲得するにいたった経緯を取り上げている点である。そして、学術的な研究結果を踏まえつつ、コンパクトな形でジョレスの全体像が描かれている点は、日本人の読者にとっては有り難い。また、ジョレスに関する図版も多数掲載されており、ジョレスについて理解が深まるように工夫されている。
正義と平和のために生涯を捧げたジャン・ジョレスという人物のみならず、共和国や民主主義のあり方にも深い思索をうながす一冊である。

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