ニランティ・ヴァディヴェル:ええ、ダンスのカンパニーで働いていました。最初は、Les Grands Ballets Canadiensと呼ばれるカンパニーで、正にクラシックダンスをしていました。あらゆるクラシックの作品を上演する、ケベック州にあるカンパニーです。コンテンポラリーの振付師とも仕事をしましたが、古典と現代が混ざった踊りでした。。。。でもどちらかというと、クラシックの方が断然多く上演されました。次いで3年後には、私は、もっとコンテンポラリーの方に近づこうと決めました。そこで、より小さなツアー・カンパニーであるLes Ballets Jazz de Montréalと仕事をしました。そのカンパニーには、年間、3人ないし4人の振付師しかいませんでした。でも、常に創作的で、よりコンテンポラリー、より現代的な身体的動きが求められました。そこで、8年仕事をしました。その仕事が終わるころ、シルク・ドゥ・ソレイユからオファーがきたのです。インドのコンテンポラリー舞踊のできるダンサーを一人探していたのです。その役には、バラタ・ナティヤムの技法が必要でした。それで、子供の時に習ったバラタ・ナティアムに、コンテンポラリーな踊りを交えて、私が以前学んだ世界に再び身を投じたのです。この役を2年半やり、最終的に、舞台を引退することに決心いたしました。
ニランティ・ヴァディヴェル:「トーテム」は、2年半です。その前に、3年間、「サルティンバンコ」の仕事をしていました。こちらは、ご存知の通り、シルク・ドゥ・ソレイユ本来の、古典的なショーでした。私はこの作品の最後の3年間、この仕事に携わったわけです。ですから、実に、20年もの長きに亘って続いたショーが、いかに最後まで、大作として話題作として幕を降ろすことができるのかを見極めるのにも、また、大変良い機会でした。実際、批評家たちは何故そのショーを終了するのか、疑問を投げかけていました。事実、とても素晴らしい批評を、最後にいくつか頂きました。私達にとっては、そのショーが、当初の勢いを持続し、衰退するのではなく、その力強さを失わなかったのだと判って、とても興味がありました。このショーの後半の演出に対しては、制作者フランコ・ドラゴンヌに寄与すること大です。次に、私は全く違った作品、「マイケル・ジャクソン、One World Tour」の仕事をしました。それは、アリーナに於いて、ツアー形式で、マイケル・ジャクソンに、オマージュを捧げる作品でした。超有名なこの業界の音楽家たち、マイケル・ジャクソンと長年にわたり、いっしょに仕事をしたことのある音楽家たちが奏でる、大規模な、広大なスペクタルでした。ですから、それは、正にロックン・ロールの世界なのです。大勢のダンサー、何人かのアクロバット。そして何といっても、ショーのスター達は音楽家であるという、どちらかというと、普段とはとても違ったアプローチをしました。ですから、シルク・ドゥ・ソレイユのショーから期待されるものとは大分違います。むしろ、そのショーを観に来てくれたのは、マイケル・ジャクソンのファン達でしたね。それは、本当に趣が違っていました。それから、「トーテム」の仕事に呼ばれました。そこで、再び、この世界に、シルク・ドゥ・ソレイユ的な世界に戻って来たのです。これは、ロベール・ルパージュの演出です。彼は、本当に素晴らしい構想を持った、ケベックの演出家です。彼は、芝居、オペラ、映画の監督なので、素晴らしいヴィジョン、美意識をもっているのです。私達としては、観客の皆さんを、ショーの中で、感動の渦に巻き込み、沢山の色々な場所にお連れしたいと願っています。
ニランティ・ヴァディヴェル:ヨーロッパが、私達の次のツアー先になろうと言われています。「トーテム」は、まだヨーロッパを全て廻ってはいないのです。通常、シルク・ドゥ・ソレイユのツアーは、北アメリカに約3年、ヨーロッパに約3年、日本に1年半、オーストラリアに一年滞在します。たいていの場合、南米にも引き続いて行きます。次いで、ここでのように、テント形式のショーは、アリーナ形式に転換されることもあります。その時には、テントは必要でなくなり、場所に関連する全てが不要になります。そのかわり、移動がぐっとスピーディになります。アリーナ形式ですと、観客は、アリーナに、すでに建設されている催し物の会場に行くので、商売の規模が縮小されます。少々滞在が短くなり、毎週か2週間ごとに移動できます。私は、アリーナ形式を5年しました。「サルティンバンコ」と「マイケル・ジャクソン One World Tour」でした。それらは、アリーナ・ツアーでした。そこでは、一週間ごとに移動していました。より速いリズムで移動するのも悪くありませんし、良かったですよ。でも、今のように、もう少し落ち着いて、一つの町に、3・4か月滞在するのもいいものです。こちらも私は好きですね。