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幻想の坩堝 ベルギー•フランス語幻想短編集
投稿日 2017年1月10日
最後に更新されたのは 2023年5月23日

幻想の坩堝 ベルギー•フランス語幻想短編集
岩本和子、三田順編訳
岡本夢子、小林亜美、松下和美、村松定史訳
松籟社
価格:1800円+税
ISBN978-4-87984-352-4
 
ベルギー出身の作家による幻想文学の本邦初の選集。ベルギーは幻想文学の領域で国際的に知られる作家を多数輩出しているが、これはゲルマンとラテン文化が拮抗する国内で、そのような対立や緊張関係によって特徴づけられてきた結果とも言える。本選集には8作家、9作品が収められている。たとえば最年長のエドモン•ピカール(「陪審員」)やモーリス•マーテルランク(「夢の研究」)、ジョルジュ•ローデンバック(「時計」)など、ベルギー•フランス語文学が最初に国際的な存在感を示した象徴派世代に属す作家たち。彼らは自らのフランドル性への意識が強くフランス文学との差異化に意識的だった。また第一次世界大戦後に本格的な活動を開始したフランス•エレンス(「分身」)、ミシェル•ド•ゲルドロード(「エスコリアル」「魔術」)、マルセル•ティリー(「劇中劇」)は前世代への反動からフランス文学との同一化を志向した。さらに幻想文学の分野で最も著名といえる、トーマス•オーウェン(「不起訴」)とジャン•レー(「夜の主」)も収録。ベルギー•フランス語幻想文学の概観を示すべく多彩な作品を紹介している。
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