水曜日 2013年9月25日
バルビゾン派といえば、パリの南東60キロに位置するバルビゾン村で、あるがままの自然風景や人々の暮らしを描いた画家たちのことをさす。彼らが本格的に村に通いだした1830年代から1870年代ころは、ヨーロッパが産業革命や市民革命によって急速に近代化されていった時代だが、それは人々の暮らしを自然から遠ざける一方で人々に自然を再認識させる時代でもあった。
山形市の、山寺 後藤美術館はこのバルビゾン派の絵画を中核に据えた美術館で、さらにバロック期から19世紀後半のバルビゾン派に至る、神話画、宗教画、肖像画、静物画、そして風景画という多岐にわたるヨーロッパ絵画を収蔵している。 コレクションを築いた山形県出身の実業家後藤季次郎氏は、若くして上京し美術館に訪れるのを楽しみとしていたが、そのなかでもとりわけ羊や牛のいる素朴な風景画に心惹かれ、そこに故郷の情景を重ね合わせていたという。
今回の展示は同美術館より約70点が出品され、ヨーロッパ美術の名品を楽しみながら、近代絵画の新たな可能性の扉を開いたバルビゾン派の画家達へと至るヨーロッパ美術の流れを展観できる。 (…)