水曜日 2014年6月4日
フランス人写真家マリー・パッサによる、日本およびアジアでの初めての個展がこの度、開催される。 マリー・パッサは1977年生まれ。建築家として10年間、世界的に有名なジャン・ミシェル・ウィルモットの設計事務所で働いた後、2006年から本格的に写真家としての活動を開始 した。 そして、2010年から2012年の間、彼女は「色」に焦点を置き、オーストリアの哲学者ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタインにちなんだWittgensteinという147点の作品を制作した。このシリーズはウィトゲンシュタインが色彩を考察した『色彩について』に着想を得て、アジアやアメリカでル・コルビュジエやルイス・バラガンといった有名建築家による建築物を撮影して、まるで万華鏡のように色鮮やかな作品に仕上げたものである。それらの作品は、建築の内部を詳細に切り取りながらも、私たちが日常において気にも留めないような場所を、思いもよらない視点で詩的に表現してみせる。彼女の作品は、説明的な演出を避けながら、写真と絵画、現実と抽象といった境界を行き来して、写真という表現の限界に挑戦している。 (…)